お気に召すまま

舞台の記憶が鮮やかなうちに…

蜷川幸雄さん

アルカディアの感想をまだ投稿できていないのですが、その前にひとつ更新したいと思います。

5月12日に、偉大な演出家の蜷川幸雄さんが80年の生涯に幕を閉じました。

古典劇から現代劇まで、ストレートプレイから音楽劇まで、幅広く作品をてがけてらっしゃった蜷川さん。
どれもとてもメッセージ性が強く、蜷川さんの作品は観る人にたくさんのことを考えさせてくれました。

わたしは大学でシェイクスピアを専攻していることもあり、NINAGAWAシェイクスピアシリーズがとても好きで、たくさん観劇させてもらいました。
中でも、特にNINAGAWAマクベスが好きで、あの仏壇マクベスが大好きでした。

そんな大好きなマクベスが私が観劇した最後の蜷川作品でした。

大きな仏壇のセットの中で繰り広げられる和装マクベス
華やかで、残酷で、おどろおどろしい雰囲気の中で、権力と復讐に溺れる人の姿はとても幻想的でした。

1つ1つの舞台装置も展開も美しく、無駄がない舞台でした。
役者さんの演技も洗練されていて、主演の市村正親さん、田中好子さんはもちろんですが、なんといっても吉田鋼太郎さんの泣きの演技が気迫たっぷりですばらしかったなあと印象に残っています。

美しく、細かく、その中で演者を最大限にいかしていた蜷川さんの演出は観る人を夢の世界に誘ってくれました。

たくさんの喜びを、楽しみを、悲しみを、ありがとうございました。
もう蜷川さんの作品が見られないなんて悔しすぎます。
でも、わたしは蜷川さんの生きていたこの時代に、蜷川さんのつくった舞台をこの目で観て、感じることができて本当に良かったと思っています。
蜷川さんの舞台が観られて本当に幸せです。

大好きな蜷川さん。
シェイクスピアの没後400年という節目の年にこの世から去ってしまいましたが、わたしは蜷川さんのつくった作品を忘れません、蜷川さんがつくったシェイクスピアを、決して忘れません。

どうか安らかに、おやすみください。